サステナブルマテリアル「OBRO」

The Challenge

革製品の加工現場では、どれほど丁寧に仕事をしていても端材が出ます。株式会社三洋のグループ会社、株式会社エヌ・コバヤシも例外ではありませんでした。革を裁断・加工する工程で生じる細かな端材は、その多くが廃棄されるしかなかったのです。一方で、PVC製品を長年手がけてきた三洋には、樹脂加工技術という独自の強みがありました。「捨てられてきた革を、素材として再生できないか」この問いが、両社の協業を起点として新素材「OBRO」の開発へとつながっていきました。

Our Approach

革の端材をパウダー状に微粉砕し、PVC(ポリ塩化ビニル)に練り込むという手法に取り組みました。単純な発想に見えて、素材の配合比率や質感の調整には細かな試作と検証が必要でした。黒透明のPVCに革パウダーを加えることで、金箔のようなきらめきが生まれ、砂子や焼き物の釉薬を思わせる奥行きのある表情が現れます。さらにレザー調のエンボス加工を施し、手にしっとり馴染む風合いを実現しました。この新素材に「OBRO(オボロ)」という名を与え、夕暮れの霞や春の朧月のように輪郭がはっきりしないからこそ美しいという、日本語の「朧」に宿る美意識をコンセプトの核に据えました。1stモデルとしてトートバッグ・サコッシュ・キーケースの3アイテムを展開しています。

The Result

新素材「OBRO」を使ったプロダクトは、クラウドファンディングにて先行販売を開始しました。PVCの軽さ・耐水性・耐久性と本革の重厚感・経年変化という相反する特性を一つのプロダクトに宿した製品として届け、廃棄されてきた革の端材に新たな命を与えるサステナブル新素材として市場に問いかけています。製造業が持つ廃棄材料を新しい素材価値に転換するこの取り組みは、ものづくりの現場から生まれたサステナビリティの実践例として位置づけられます。

Project Information

Client: Sanyo
Business Design: Okunote
Design: Satoru Shimizu
Photo: Studio Function

Scroll to top