印章のアップサイクルプロダクト事業「rinsho」

The Challenge

使われなくなった家族のハンコを単に廃棄するのではなく、そこに新しい価値を与えられないかという発想が出発点になりました。一方、デジタル化の進展によってハンコの需要そのものが減少し、甲州手彫印章組合が抱える伝統技術の継承が困難になっていました。社会変化を踏まえた視点が必要とされており、山梨県の地域産業としての存続そのものに関わる課題でもあり、若手職人の仕事をどう確保するかという論点も含んでおり、組合全体の将来像とも関わっていました。

Our Approach

「亡くなった家族のハンコをアップサイクルするプロダクト」として「rinsho」事業開発にて、プロダクトデザインを引き受けました。単なる印章の再加工ではなく、「想いを受け継ぐ」という感情的な価値を商品の核に据え、形として残すことの意味を再設計しました。彫刻という手彫り職人の技術をそのまま活かせる工程を選び、組合の技術継承にも資する設計を意識し、遺品整理という生活者の実際の場面を想定して企画し、利用シーンの具体性にもこだわりました。

The Result

脱ハンコという社会変化を逆手にとった新事業として、「想いを受け継ぐ」感情的価値の商品化を実現することを形にしました。需要が減少する一方の伝統工芸であっても、用途を転換することで新しい市場を見出せることを示した事例であり、甲州手彫印章組合にとって新たな展開の可能性を提示しました。デジタル化による需要減という危機を、新しい商品カテゴリーへの転換機会として捉え直した点が特徴であり、他産地への応用余地も残し、感情的価値設計の一例となりました。

Project Information

Client: Koshu Tebori Insho
Brand Design: Satoru Shimizu

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